雨の降る日は、

==============音声データ===============
音で聞きたい人のために作者が記事を読みあげています。
https://soundcloud.com/kazuyuki-inoue-1/181203a
※いい声ではないので、期待しないでください。
===================================

スマホのアラームで、目が覚める。

いや覚めてない。起きたくない。そんなふうに戦っている僕のことなんてお構いなしに、2度目スマホのアラームは鳴り響いた。
このタイミングで起きないと仕事に遅れてしまうから、重たい身体を引きずりながら、お風呂場へ入ってシャワーを浴びる。しばらくのあいだ、お湯が僕の身体をつたって、排水口へと流れていく様子をぼーっとながめていた。

そうしていると体温が上がってきて、身体が軽くなってきた。身体を拭いて、ドライヤーで髪を乾かし、仕事用のシャツにアイロンをかける。そんな毎週の風景。

 

 

「今日、雨?」
布団の中から声がした。ちょっとまってね、と一言声をかけ窓をあけてみたら、グレーが広がる空から、しずくが落ちてきた。ああそういうことか、と自分で納得する。朝から身体が重たいのはこいつのせいだ。

僕は昔から雨の日に弱かった。最近では大丈夫になったけど、中・高校生のときには目覚ましを使ってなかったから、雨の日は決まって一時間遅れて目が覚めていた。起きた時間を確認すれば、今日が”晴れる”のか”雨が降る”のかわかるのが、僕の特技だった。

 

 

「雨ふってるよ」
僕は布団の声に返事をして、着替えをの続きを始める。今日の持ち物を確認して、布団の中でふわふわのパジャマを着たそいつを抱きしめて、行ってきますと声をかけた。
「今日はおくっていくよ。雨だからね」ふわふわのそいつは、靴下を履いて、玄関に出てきた。

駅へ向かう車の中、仕事行きたくないとつぶやいた。彼女は僕に微笑み「大丈夫だよ。さっさと済ませて早く帰っておいで」と返事をした。
車を降りて事前に調べたとおり、普通電車に乗り込むことに成功した。車じゃなかったら危なかったかもしれない。

電車は「行きたくない」と叫ぶ僕の心を、目的地まで迅速に運んでくれる。さすが無機物だ。しかし心を持つ僕は目的地に近づくに連れて、身体が重たくなる。せめてもの救いは、この電車が各駅で止まることかな。

 

 

こういう日は紙に文字を書く触感にさえ意識が向く。ペンのなぞる音、紙のざらつきを手に感じて、自然とキレイな文字を書きたくなる。

雨の日は嫌いだけれど、雨の音は好きだ。

決めた。

今日はこの感覚に身を任せよう。丁寧な生活をしよう。

思い立った僕はすぐに彼女に連絡をする。
「今日は二人でご飯をたべたい。」

ピロン

「いいよ。そうしようか(*´ω`*)」

チャーハンの画像

今晩はチャーハンを僕が作って食べる